競馬場レースイメージ
競馬場イメージ
出走馬の様子
馬の横顔イメージ

story 未来に語り継ぎたい名馬物語

    日本調教馬として初めて
    レーティング世界一に

    ©Y.Hamano

    すべての写真を見る(7枚)

     2014年、ジャスタウェイはIFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表している「ワールドベストレースホースランキング」で、その年の世界単独トップとなった。もちろん、日本馬が1位になるなんて史上初めてのことだった。

     この年、ジャスタウェイはドバイデューティフリー(現ドバイターフ)における走りで130ポンドという評価を得た。2位はジャパンCを4馬身差圧勝のエピファネイアで129ポンド。そして3位の127ポンドには5頭が並ぶこととなったのだが、その顔ぶれが凄かった。

     英愛ダービーに続き英インターナショナルSも制したオーストラリア。セントジェームズパレスSなど通算8戦7勝の強豪マイラー、キングマン。愛チャンピオンSでオーストラリアを破った仏ダービー馬ザグレーギャツビー。香港でチャンピオンズマイルを圧勝した南アフリカのヴァライエティクラブ。そして暮れの香港マイルを4馬身1/4差で制したエイブルフレンド。まさに錚々たるメンバーを抑えて、ジャスタウェイはこの年の「世界一」の評価を得たのだ。

     それまで日本馬の評価で最も高かったのは、99年に凱旋門賞で2着となったエルコンドルパサーの134ポンドだった。しかしその年はモンジューとデイラミが135ポンドを得ており、世界のトップに立つことはできなかった。

     近年で目立った数字として残っているのは、13年にオルフェーヴルが引退レースとなった有馬記念を8馬身差で圧勝した際に得た129ポンド。2度の凱旋門賞2着時を上回る高い評価だったが、これもこの年のトップではなかった。

     ちなみに歴代のトップは、あの怪物フランケルが12年にマイルのクイーンアンSと約10ハロンの英インターナショナルSで獲得した140ポンドとなっている。次がダンシングブレーヴの138ポンド。86年凱旋門賞における数字だ。

     レーティング、つまり架空の負担重量で競走馬の強さを数値化するやり方の最大の特徴は、芝やダートなど異なるサーフェスの、異なる距離カテゴリーの馬を、しかも時代すら超えて比較できるところにある。その実現のために、世界各国のハンデキャッパーたちは信じられないほど緻密で膨大な仕事を1年中続けている。各国の数字を突き合わせて修正する国際会議の様子を、出席した日本のハンデキャッパーから聞くと、その議論の量や真剣勝負的な緊張感の凄さに驚かされるが、それはまた別の話になる。

     いずれにせよ、ジャスタウェイはそうした評価における「世界一」となった。日本調教馬によるドバイデューティフリーの勝利なら、07年にアドマイヤムーンが達成していた。ドバイシーマクラシックやドバイワールドCの勝ち馬だって出ている。でも「世界一」の馬はジャスタウェイが初めてで、その後も出ていない。「世界一」を決めるレースが行われ、みんなが見ている前で勝ったわけではなくて、だからそれは直感的にわかりにくく、どこか雲を掴むような話にも思える。

     でも、たぶんそんな戸惑いこそ、ジャスタウェイの達した高みの「新しさ」を、何よりも雄弁に物語っているのだ。

    ハーツクライ産駒を求めた大和屋暁オーナー(左から3人目)にとって、13年天皇賞(秋)が嬉しいGI初制覇となった©H.Ozawa

    すべての写真を見る(7枚)

    02
    04