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天皇賞(春)注目馬クローズアップ ドゥレッツァ
天皇賞(春)注目馬クローズアップドゥレッツァ経験を成功への糧に圧巻のパフォーマンスで菊花賞を制したドゥレッツァ。
金鯱賞で連勝はストップしたが、天皇賞(春)で2つ目のGⅠ奪取を狙う。

軍土門隼夫 Hayao Gundomon

    久々の敗戦となった金鯱賞の
    前後で確認できたこと

     菊花賞馬ドゥレッツァの4歳始動戦となった金鯱賞は、前年の勝ち馬プログノーシスから5馬身差の2着。新馬戦3着以来となる、久々の敗戦を喫した。ただ、菊花賞から4カ月半以上開いたレース間隔、勝ち馬より1㌔重い59㌔の斤量、そしてインから早々と抜け出した勝ち馬に対し、直線で前が壁になり、外に出すのに手間取った苦しい展開を考えれば、むしろよく2着まで追い上げたとも言える内容だった。 
     尾関知人調教師も、負けて残念な気持ちと、力を見せてくれてほっとした気持ちの両方が残ったという。
     「これだけの馬で勝てなかったのは悔しいですが、直線ではコース取りに苦労していて、あのまま馬群に沈んでもおかしくないところからよく2着まで押し上げたと思います。この馬の能力を改めて感じることができました」 
     さらに、勝ち馬とは金鯱賞そのものへの適性の差もあったのではと話す。
     「中京は直線は長いですが、コーナーが少しタイトです。ドゥレッツァもちゃんと走れているんですが、2000㍍という距離も含め、勝ち馬にはより合う条件だったのかなと感じました」 
     3馬身半差の衝撃的な圧勝で驚かせた昨年秋の菊花賞後は、年内は一走もせず、休養に入った。
     「菊花賞の後は、さすがに疲労でガクッときた感じでした。条件戦からいきなりのGⅠでしたし、勝ち方も含め、それだけあの菊花賞はタフな、激しいレースだったんだと思います」 
     休養により疲労も取れたドゥレッツァは、体も成長して戻ってきたという。
     「牡馬にしてはスラッとしたタイプですが、少し重量感が増しましたね」
     休み明け初戦の金鯱賞へ向けて最も注意を払ったのは、精神面だという。
     「デビュー以来、初めて一度リセットしてからの立ち上げだったので、当初は調教でも少し力み加減だったんです。本来はレース前は併せ馬をしたいタイプなんですが、そこを考慮して、併せ馬も控えて臨みました」 
     その甲斐あって金鯱賞では力む面は出ず、折り合いも問題なし。レース後も落ち着いているというドゥレッツァ。
     「いわゆるガス抜きできた感じです」 
     またレース後も、疲労が強く出ることもなく、順調に回復しているという。
     「レースを使って、気持ちが競馬を思い出したのか体も締まってきました。いろいろな意味で目標の天皇賞(春)へ繋がるレースになったと思います」 

    天皇賞(春)注目馬クローズアップ ドゥレッツァ

    1986年春の天皇賞に学ぶ
    ステイヤーではない馬の武器

     尾関調教師はドゥレッツァについてのインタビューではいつも、何でも1回経験するとできるようになる、結果を出す馬だと話しているという。
     「厩舎に来た当初も、牧場の評価は高いけど調教はそれほど動かないなと思ったんですが、ゲート試験を挟んで2度目の入厩ではものすごく動いてくれて驚かされました。レースでも、新馬戦ではフラフラしていたのに、2戦目ではしっかり走れていましたし」 
     性格は比較的、落ち着いたタイプ。
     「調教やレースでは余裕があるからかモノ見をする面があって、それでシャドーロールを着けています。菊花賞でも、ジョッキーによるとモノ見をしたおかげで1周目に脚をためられたという話ですね。そして慣れた2周目にパフォーマンスが上がって結果が出たのか、なんて厩舎では冗談で言ってます。でも本当に、そういう馬なんですよ」 
     天皇賞(春)では、同じ京都の長距離戦である菊花賞を勝ったドゥレッツァは人気を背負うことが予想される。
     「それはもう菊花賞馬の宿命ですね。ただこの馬は本質的には純然たるステイヤーではなくて、決して菊花賞からの200㍍延長を歓迎するタイプではありません。迎え撃つ立場ですが、そこはチャレンジだとも思っています」 
     そんな「純然たるステイヤーではない」馬が菊花賞であれほど強い勝ち方ができた理由を、尾関調教師は「コントロール性の高さでしょう」と話す。
     「この馬には能力にプラスして、そういうジョッキーの意のままに走れる良さがあると感じますし、そこは大事にしていきたいと思っています」 
     コントロール性の高さを武器に天皇賞(春)を勝った馬として尾関調教師が思い出すのは、1986年のクシロキングだという。当時、まだ中学生の競馬ファンだった尾関調教師は、全6勝が中山の2000㍍以下というクシロキングを「正直、天皇賞(春)なんて勝てるわけないと思ってました(笑)」と振り返る。 
     しかしクシロキングは、序盤は後方待機、2周目の3コーナーから一気に上昇して3番手で直線を向くと、最後にメジロトーマスを差し切って優勝を果たす。距離に不安のあるクシロキングを後半1600㍍に賭けて勝利に導いた手綱捌きは、岡部幸雄騎手の名騎乗の一つとして語り継がれている。
     「あんなふうに、コントロール性の高さを活かした走りが、菊花賞に続いて天皇賞(春)でもできたらいいですね」 
     次で8戦目。「まだまだ伸びしろがあると思います」と尾関調教師も話すドゥレッツァは、勝てばフィエールマンの6戦目に次ぐ史上2番目に少ないキャリアでの天皇賞(春)制覇となる。
     「菊花賞馬として当然、期待されるレースになりますが、それに応えられるだけの能力を持った馬だと思います。最善を尽くして出走させますので、ぜひ応援してください」

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