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story 未来に語り継ぎたい名馬物語

    分岐点にあったトウショウ牧場
    復活への希望を託される

    2003年 ファンタジーS ● 優勝 2歳秋の京都開催で楽々と初陣を飾ると、続く重賞の舞台でも上がり最速の末脚で快勝©F.Nakao

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     スイープトウショウは2001年5月9日、名門トウショウ牧場で生まれた。スイープトウショウが生まれた当時、トウショウボーイやシスタートウショウなど数多くの名馬を輩出した名門牧場は分岐点にあった。日本競馬に変革をもたらしたサンデーサイレンスや外国産馬の勢いに押され、オーナーブリーダーとして活躍馬を出せない歯がゆさをかみしめていたのだ。それを拭い去るため、自家繁殖牝馬への交配相手を見直し、土壌改良や育成施設の整備、水源に至るまで徹底した投資を実行。その結果、牧場伝統のソシアルバターフライの血を引くシーイズトウショウ(03年桜花賞2着)があらわれた。

     その翌年、チャイナトウショウの系統タバサトウショウに国内供用初年度だったエンドスウィープが交配され生まれたスイープトウショウは、まさに名門牧場復活への希望だった。

     その希望を託した調教師は翌年2月に定年を控える渡辺栄。クラシックシーズンに転厩を迎えるものの、母タバサトウショウ、母の母サマンサトウショウも管理、この血統を知り尽くしているゆえの選択だった。主戦は渡辺栄の弟子である角田晃一。初陣は2歳秋の京都、牝馬限定の芝1400㍍新馬戦だった。

     ゲートをゆっくり出たスイープトウショウは3、4コーナーで馬群の大外を馬なりで押し上げ、直線入り口で先行集団に並び、気合をつけられると、2着アグネスラズベリをあっという間に置き去りにした。騎乗した角田もここではものが違うとコメント。さらなる高みを目指せる手応えを感じた。

     その期待を確信に変えるべく選ばれた次走は重賞のファンタジーS。1番人気は野路菊Sを勝ったツルマルシスターに譲ったものの、新馬戦同様にスタートで遅れたスイープトウショウは前半をじっくりと進め、馬群の大外を自ら進出、最後は末脚一閃、余裕を持ってゴール板を先頭で駆け抜けた。角田もレース後、前半で折り合いを欠いたにもかかわらず、繰り出した末脚に自信を深めた。ただ、返し馬を嫌がり、精神的な課題が残るともコメントした。これこそがのちにスイープトウショウの最大の課題、我の強さにつながる。

     そして主役として迎えたGI阪神ジュベナイルフィリーズ。課題だったゲートこそクリアしたが、最後の直線で勝ったヤマニンシュクルに進路をカットされ、5着。デビュー以来、初黒星を喫した。

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