競馬場レースイメージ
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出走馬の様子
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story 未来に語り継ぎたい名馬物語

    予定調和の逃走も
    そこに感じられた変化

    ©JRA

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     オールカマーの圧勝を受けて、ツインターボの人気は爆発した。次走の天皇賞(秋)では金曜前売り発売で1番人気(最終的には3番人気)に支持されたのだ。オールカマーのラップタイム(2000㍍通過が1分59秒6)から逆算すると通用してもおかしくないという説もあり、ファンの期待どおりに単騎逃げを打ったのだが、4コーナーで早々と捕まり2秒8差の最下位に敗れてしまった。

     年が明けた94年のアメリカJCCこそ逃げてコンマ6秒差の6着に逃げ粘ったが、それ以降は逃げて1秒差以上の大敗を繰り返した。94年有馬記念は勝ったナリタブライアンから5秒も離された最下位に沈んだ。

     ファンは予定調和のような玉砕逃げに沸いたが、馬自身はレースで逃げているのではなく、すでにレースから逃げているようにも感じられた。もともと気持ちで逃げていた馬である。中舘騎手も引退後に「オールカマーで燃え尽きちゃったような気もする」と語っている。

     逃げ馬の個性を強調するときに「生粋」という修飾語を使うことがある。しかしこの言葉が文字通りにハマるのはツインターボしかいないように思う。デビューから中央競馬の引退まで、すべてのJRAのレースで一度たりともハナを譲ることなく、重賞を3勝もあげた逃げ馬はツインターボだけだろう。

     95年に上山に移籍、96年に引退して種牡馬になったが5頭の産駒を残しただけで98年に心不全で亡くなった。この世を去ってからすでに20年以上が経つが、今でもツインターボが力一杯に逃げる姿は、我々の心の中から逃げ去ることなく焼き付いている。

    ツインターボ TWIN TURBO

    1988年4月13日生 牡 鹿毛

    ライラリッジ
    レーシングジイーン(父サンシー)
    馬主
    黒岩晴男氏→武田二男氏
    調教師
    笹倉武久(美浦)→秋葉清一(上山)
    生産者
    福岡敏宏氏
    通算成績
    35戦6勝(うち地方13戦1勝)
    総収得賞金
    1億8670万8000円(うち地方139万円)
    主な勝ち鞍
    93オールカマー(GⅢ)/93七夕賞(GⅢ)/91ラジオたんぱ賞(GⅢ)
    JRA賞受賞歴

    2020年11月号

    姫園 淀仁 YODOHITO HIMEZONO

    1976年生まれ、兵庫県出身。消費者金融会社を経て、フリーライターとなる。競馬をはじめ、競艇、競輪、オートレースといったギャンブルから、FX、株の投資、芸能関係と、活躍の場は幅広い。「優駿」「Boat Boy」などで執筆。著書に「参ったその手があったか!―返さないお客様との知恵比べ」。

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