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出走馬の様子
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story 未来に語り継ぎたい名馬物語

    「伝説の新馬戦」に勝利し
    同世代のライバルが出現

    2000年 札幌3歳S ● 優勝 2歳9月に初陣を飾ると、続く一戦でも5番人気ながら新馬戦で下したタガノテイオーを2着に退け、重賞初制覇©S.Sakaguchi

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     横手がノーザンファーム早来で育成を任せられて2年目、厩舎に父トニービン、母ダンスチャーマーの牡馬が入厩してきた。

    「近寄ると舌を出すあたりが、トニービンの仔らしいと思いました。コースに出てみると、ガチャガチャした走りながら乗り味がいいのも、父の特徴が出ていると思いました」

     ただ先述した通り、次の年の3月から約5カ月ほど、横手はニューマーケットに研修へと旅立つ。次にジャングルポケットの姿を見たのは、帰国後に札幌競馬場で行われた新馬戦だった。

     その新馬戦は、出走した8頭全てが勝ち上がっただけでなく、2着のタガノテイオーは東京スポーツ杯3歳S(当時のレース名、以下同)を勝利。そして5着のメジロベイリーは朝日杯3歳Sを優勝するという、「伝説の新馬戦」ともいうべき、非常にハイレベルなレースだった。

     札幌3歳Sでもタガノテイオーを下して重賞勝ちを収めたジャングルポケットは、横手厩舎へと戻ってくる。その時から「ごく普通の馬」は、次の年のクラシックを狙う馬と位置づけられていた。

    「レースを経験したからか、乗り難しい馬に変わっていて、調教では当時の調教主任が常に騎乗していました。ただ、掻き込みの強さもあってか、この頃から蹄を潰しがちで、その管理に気を使っていました」

     牧場で2カ月ほど調整された後に、栗東へと戻ったジャングルポケットは、ラジオたんぱ杯3歳Sに出走する。このレースで1番人気に推されていたのが、ここまで2戦連続してレコード勝ちのクロフネだったが、そのクロフネもまた、横手厩舎の管理馬だった。

    「クロフネには入厩する前に跨る機会がありました。一言でいうと凄い馬。完歩が大きすぎて、普通のキャンターにならなかったですし、速い調教だと、手綱を抑えられないような手応えさえありました」

     だが、その2頭に立ちはだかったのが、この後、無敗で皐月賞を勝利するアグネスタキオンだった。横手はニューマーケットでの研修時、ともに来ていた社台ファームのスタッフから、その評判を耳にしていた。

    「その年にはアグネスフライトもダービーを勝っていましたし、次は弟かと思いながらレースを見ていました。悔しいというよりも、あの差を縮めるためにどうしたらいいのかを考えていました」

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