競馬場レースイメージ
競馬場イメージ
出走馬の様子
馬の横顔イメージ

story 未来に語り継ぎたい名馬物語

    トレーナーとジョッキーの
    強い思いに応えたジャパンC

     6歳になった03年。東京競馬場リニューアル記念でオークス馬レディパステルを一蹴すると、金鯱賞を快勝。続いて臨んだ宝塚記念では中団から進んで、徐々に位置を押し上げながら直線へ向く。そして一旦は先頭をうかがったが、坂を上がったところで一気に脚を伸ばしてきたヒシミラクルとツルマルボーイに交わされて3着に敗れた。それでもクラシック二冠のネオユニヴァース、前年の有馬記念で惜敗したシンボリクリスエスには先着し、タップダンスシチーがいよいよ本格化したことを感じさせるレースになった。

     秋の初戦は京都大賞典。久々に逃げに打って出たタップダンスシチーはスローに落とし込むと、3コーナー過ぎからペースを上げてスパート。宝塚記念で敗れたヒシミラクルを2着に下してリベンジを果たした。

     このレースでは別の面で大きな進境を見せた。それまで“二人曳き”だったパドックで落ち着いて歩くタップダンスシチーを目にして、佐々木は自らが持つ手綱を離してみることにした。すると、離した直後はうるさい仕草を見せた彼は徐々に落ち着きを取り戻し、“一人曳き”でも厩務員を困らせるようなことはなかった。以前から「タップダンスを踏まなくなったら本物になる」と感じていた佐々木は「しめた!」と思ったという。

     始動戦を完璧な内容でものにした陣営は、天皇賞(秋)をパスし、ジャパンCへ直行する。初めて外国馬を迎えた華やかな第1回を観て以来、「調教師になったら何としても出たい」と思い続けてきた佐々木。第4回でのカツラギエースの逃げ切りに感激して騎手を目指した佐藤。二人にとって夢の舞台であるジャパンCへ、愛馬を最高の状態に仕上げて臨みたいという強い思いがそう決断させたのである。

     その夢は二人の想像をはるかに上回るかたちで実を結ぶ。

     最内の1番枠からスタートしたタップダンスシチーはやや気合を付けられながら先頭を奪うと、あとは馬の気持ちに任せて軽快に馬群を先導する。機先を制されたザッツザプレンティがそれを見て手綱を抑えたため、向正面に入るとタップダンスシチーと2番手の差はグングンと広がり、3コーナーを回ったあたりでは10馬身以上に広がる。なおもマイペースで逃げるその脚色を見て焦った後続はペースを上げて差を詰めにいったが、ここで脚を使わせるのも“策士”佐藤の戦略だった。数馬身の差をつけて直線へ向いたタップダンスシチーが佐藤の叱咤を受けてゴールを目指すなか、後続は早めに脚を使ったために伸びあぐむ。そのため差は再び大きく広がり、タップダンスシチーが悠々とゴールを駆け抜けたとき、2着のザッツザプレンティは9馬身も後方におり、シンボリクリスエスはさらにその後ろで3着に入るのがやっとだった。

     タップダンスシチーとともに、佐々木と佐藤の夢を現実にした瞬間だった。

    2003年 ジャパンC ● 優勝 02年の有馬記念後は京都大賞典勝利など4戦3勝と本格化。果敢に先頭を奪い、レース史上最大となる9馬身差での圧勝©Y.Kunihiro

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