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story 未来に語り継ぎたい名馬物語

未来に語り継ぎたい名馬物語 16

”ナタの切れ味”と称された五冠馬
シンザンと日本競馬

広見 直樹 NAOKI HIROMI

2016年8月号掲載

史上2頭目の三冠馬であり長く日本競馬の象徴とされてきた名馬シンザン。派手さはなくても堅実に伸びてきて最後は勝利することから、ナタの切れ味と評された。

    見事にダービー制覇を成し遂げ、コンビを組む栗田勝騎手とともにファンの前に凱旋したシンザン。向かって馬の左が武田文吾調教師【JRA】

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    《最強の戦士。/彼の前では すべての馬が挑戦者だった。》

     1983年にJRAが製作した「ヒーロー列伝」のキャッチコピーである。

     最強の戦士の名はシンザン。このポスターが作られる20年前の63年にデビューし、セントライト以来、史上2頭目の三冠馬に輝いた名馬。いや、そんな言葉で簡単に表現してしまうことができない傑出した競走馬だった。

     シンザンを超えろ。

     彼がターフを去ったあと、競馬関係者の間で語り継がれてきた言葉だ。

     シンザンを上回るサラブレッドを送り出す。これが競馬サークルに身を置く者たちの目標だった。

     それから半世紀という長い月日が流れ、シンザンを超える競走馬は、たしかに誕生した、と思う。しかし、当時を知るファンにとって、彼が残してくれた感動と驚き。そして偉大な功績は決して色褪せることはない。これもまた、たしかなことだと思う。

    《彼の前では すべての馬が挑戦者だった。》
     このコピーはいまも生き続けている。

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